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COLUMN コラム

公益財団の持分ありの医療法人で後継者に引き継がせるには

事業承継の問題


公益財団を設立し、医療法人の経営を行っている院長先生も少なくありませんが、いずれ事業承継の問題が出てきます。
個人開業から一般財団を設立し、公益認定を受けて公益財団に移行するなど時間をかけながら様々なステップを踏み、現在の状況を作り上げてきた院長先生にとっては自分の代で解散させることなく、後継者に継いでもらいたいものです。
しかし、一般的な会社と異なり公益財団などの公益法人は簡単に事業を譲ることができません。
理事長の交代であるため個人開業と比較すると流れはシンプルですが、持分ありの医療法人を引き継がせるためには、退任する者が所有している持分の全て、もしくは一部を後継者に移転する必要があります。
所有したまま退任することができないため注意してください。


評価方法と対策について


持分ありの医療法人の承継で重要になるポイントは出資持分の評価方法です。
この評価は法人の規模によって異なります。
判定表でも確認することができますが、総資産15億円以上かつ従業員36名以上、もしくは従業員70人以上で取引金額が20億円の場合は大会社となり、評価は類似業種比準方式を用いて算出します。
中会社は類似業種比準方式と純資産価額方式を併用し、小会社は純資産価額方式のみを用いて算出するのが一般的です。
類似業種比準方式の計算には、類似業種の上場会社と配当や利益、純資産価額の3つの要素がどれくらい異なるのか、平均株価に反映して評価します。
一方、純資産価額は法人の資産から負債を差し引いて算出しますが、帳簿からではなく相続税評価額に直したものを用いてください。
また、持分ありの法人の事業承継では株式と異なり評価額が上昇しやすい傾向にあるため対策が必要です。
特に医療法人は配当が禁止されており、多額の相続税が発生する可能性があります。
後継者だけでなく法人全体に大きな負担をかけることになるため、退職金を支給したり、建物を建て替えて純資産価額を減少させたりするなど、事業規模を拡大させるなどの対策をしましょう。
また、相続時精算課税制度も利用するのも一つの方法です。
専門家に相談しながら引き継ぎの準備をしてみてはいかがでしょうか。