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COLUMN コラム

公益財団の医療法人による理事の貸付について 

貸付金が発生する理由


公益財団などの医療法人には、各機関を設置しなければなりません。
特に理事は理事会の構成員として業務上の意思決定に関与し、代表理事を監視する役割を担う重要な機関ですが、理事長に対する貸付の返済に困っている公益財団もあるのではないでしょうか。
貸付が発生する理由は様々ですが、主に2つの理由が考えられます。
1つは設立時の出資金が多すぎる場合です。
個人から公益財団などに法人化する際は、任意で金額を申請できるため、必要以上に出資しないように注意しなければなりません。
もう1つの理由は、個人で開業していた頃の債務が多額で、そのまま医療法人に引き継いでしまったケースが挙げられます。
引き継ぐ資産より負債が多くなると、その差額が貸付となるため、法人化の際に引き継ぐ負債を減らすか、資産価額を高くするしかありません。
一般的に施設などの有形固定資産は、減価償却をした後の薄価で引き継いで譲渡所得が課税されないようにするものですが、建物の引き継ぎ額を高く設定すると貸付金は発生しないはずです。
しかし、譲渡所得は課税対象であるため注意してください。



3つの方法

解決方法は様々ありますが、最も定番な方法といえば役員報酬を上げて、毎月少しずつ返済することです。
しかし、返済が終了するまで時間がかかり、報酬に社会保険料や所得税、住民税が課税されるため、報酬をアップしたほど返済がスムーズにいくわけではありません。
報酬をアップする以外では3つの方法があります。
1つは、MS法人で出資持分を買い取ることです。
買い取った代金を理事長に支払い、それを返済する流れですが、MS法人を持っていなければできません。
また、資産が多ければ株式譲渡所得が発生するため注意してください。
2つ目は債務免除です。
医療法人は債権放棄損が発生し、損益計算書上では特別損失などに計上されますが、その他の寄付金の対象となり、ほとんど損金にはなりません。
都道府県に債権免除したことが知られてしまうと、余剰金配当禁止に該当する可能性があるため注意しましょう。
3つ目は、債権譲渡です。
第三者が低額で買い取るものですが、信頼できる人や法人でなければなりません。
また贈与税がかかる可能性があるため要注意です。
このようなことに気をつけて適切な方法を選びましょう。