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COLUMN コラム

公益財団の医療法人における個人借入の引継ぎについて 

個人借入があると法人設立が複雑

個人で医療事業をしていた人が、医療法人などの公益財団を設立する際に注意しなければならないことがあります。
それは、個人借入です。
基本的には、拠出する財産の取得時に発生した借入は、企業を設立した後に法人で返済します。
公益財団における医療法人に引き継ぐことができない個人借入はそのまま返済しなければなりませんが、個人事業を廃止している状態になるため、収入は役員報酬しかありません。
そのため、個人借入の返済は借入金返済相当額を役員報酬に上乗せするのが一般的です。
しかし、個人で返済をすると個人所得税がかかるため、役員報酬とは切り離して公益財団法人や医療法人として個人借入を返済したほうが、支払わなければならない税金を増やさずに済みます。


引き継ぎができない場合もある

注意しなければポイントは、引き継ぎができない負債があることです。
引き継ぐことのできる負債は拠出財産の取得に必要な資金です。
公益財団や医療法人の運転資金を借り入れた場合は、引き継ぐことができません。
そのため、医療法人を設立したあとに支払う利息は経費にできなくなります。
利息分は医療法人からもらう役員報酬で支払う必要があるのです。
そのため、医療法人や公益財団に引き継ぐことのできない個人借入は、法人を設立する前に返済しておくことをお勧めします。
また、すべての借入金を使って財産を拠出するのであれば、まだ返済しきれていない残高すべてを引き継ぐことが可能です。
しかし、借入金の一部であれば未返済額を比例配分した額を引き継ぐことになります。
一括償却資産や消耗品の購入にかかる費用として借入した場合は、引き継ぐことが不可能です。
中には、金融機関によってすべての借入金を医療用機器などの購入にあてた場合は、引き継ぎを認めることもあります。
その場合は、根拠となる書類が必要です。
書類を準備していれば、引き継ぐことができるかもしれません。
このように個人借入がある場合の法人設立は、様々な条件や問題が発生する可能性があるため、非常に複雑です。
借入の引き継ぎや扱い方をしっかりと知った上で、公益財団や医療法人を設立しましょう。