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COLUMN コラム

公益財団法人設立時に注意すべき欠損金の繰越控除制度とは 

これまでの税制について

平成23年の税制改正により、平成24年4月1日以降に開始する事業年度から青色欠損金や災害損失金、連結欠損金の繰越期間が9年間に延長しました。
これまでは7年間でしたが、平成20年4月1日以降に終了した事業年度で生じた欠損金から繰越欠損期間9年間として適用されることになります。
期間の延長だけでなく、帳簿書類の保存も9年間です。
さらに、繰越欠損金控除にも変更があります。
損金額に参入できる金額が控除前所得の8割を限度とし、2割に対しては法人税が課税され、法人事業税の所得割りも課税の対象となりました。
これは、資本金が1億円以上の法人が対象です。
中小法人の繰越欠損金は、繰越期間の延長だけが変更されただけであるため有利です。
また、資本金や出資がない公益財団法人も中小法人と同様に繰越欠損金の繰越期間だけが変更となります。



平成30年4月1日以降について

平成27年に改正された税制では、課税ベースの拡大を目的としたもので、欠損金の繰越控除制度が見直されました。
1億円以上の資本金がある法人は繰越控除所得の限度が8割でしたが、さらに引き下げられることになったのです。
平成28年には法人実行税率を2割台へ引き下げるために、さらに税制の見直しが行われました。
中小法人の特例はこれまでと同様です。
7年間の欠損期間、全所得の控除に対する改正は行われていません。
そのため、公益財団法人も改正前と改正後に変更点がありません。
しかし、平成30年4月1日以降に開始する事業年度からは繰越期間の延長が適用され、10年となりました。
これは、中小法人や公益財団も1年間の延長が適用されます。
帳簿書類の保存も10年間です。
さらに、平成30年4月1日以降に開始する事業年度では繰越欠損金控除限度額が引き下げられ、所得の5割までしか繰越欠損金が利用できなくなります。
期限が切れた欠損金を生じさせない対策が必要です。
繰越欠損金がある公益財団は連結納税の方が欠損金を有効的に利用できるかもしれません。
このように税制改正によって様々なポイントが変更されています。
公益財団法人の欠損金など事業継承についてよく理解しておくことが大切です。