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COLUMN コラム

公益財団の医療法人よる役員の法的責任とは

職務を怠ると


医療法人を運営する公益財団の役員には法的責任というものがあります。
これは、公益財団における医療法人の任務を怠った時に発生するもので、損害を賠償する責任を負わなければなりません。
では、どのような問題が発生した時に法的責任を負うことになるのでしょう。
実際に起きた事例を知り、対策を行うことが大切です。
まず、一つ目の事例が横領事件です。
ある公益財団では、日頃からお金の管理を特定の職員に任せきりにしていたところ、突然その職員がこれまで管理していた数千万円の定期預金を引き出して、行方不明になったという問題がありました。
預金通帳だけでなく、印鑑の管理もその職員に任せていましたが、残高証明書の偽造や10年にわたって横領を繰り返し続けていたことが発覚しました。
その職員が罪に問われるのは当然ですが、代表や理事、業務執行理事、監事などがしっかりと見抜くことができなかったことに対して法的責任が発生します。


信頼をなくさないために


代表や業務執行理事には適切な財産管理をするために必要な注意義務があり、それを怠ったことになります。
理事会に対しては、理事長らの職務を監視する役割があるため、体制を構築し、それを実施させてこなかったとして責任を果たしていないこととみなされるのです。
監事は監査を行う立場であるため、不十分な管理体制に注意を払って、しっかりとチェックを行い、問題を指摘しなかった責任は免れられません。
公益財団などの医療法人は、一般的な企業とは異なり非営利を追求した団体であるため、税制優遇を受けており、横領されてしまったものは仕方ない、では済まされないのです。
不祥事を見抜くことができない法人の運営は、公益法人としての適格性にも疑問が生じるでしょう。
国民の信頼があっての法人であるため、一度の不祥事で信頼を無くしてしまうと、今後の事業が成り立ちません。
そのため、国民の信頼を確保できるように、理事や監事、監査などの役員は管理やチェック体制の構築が欠かせません。
多額の損害賠償を問われる可能性もあるので、役員などの関係者は、その自覚を持って職務を果たす必要があります。