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COLUMN コラム

公益財団の医療法人設立で院長名義の不動産がある場合には 

土地を手放すときには


個人開業から公益財団などの医療法人を設立する際、院長名義の不動産を所有している人も多いのではないでしょうか。
公益財団の設立申請時に不動産を計上する院長も多いでしょう。
医業が軌道に乗るまでお金がないため、不動産を現物出資したり、担保にしたりしようと考えるものです。
現在は持分の定めがない公益財団などの医療法人が増えてきており、現物出資をしたとしても持分に相続税がかかりません。
祖父や父が現物出資しても、同じ扱いになり節税効果がありますが、手放す際には気をつけたいことがあります。
代々受け継がれてきた土地は、途中で相続や贈与があっても最初の取得日の取得価額を引き継いでしまうのです。
祖父の時代から長く経営が続いていると、取得価額が安い場合や契約書がなければ判断ができないため、売却価格の5%とみなされます。
仮に売却すると多額の売却益が発生して、院長本人もしくは父、祖父などに所得税がかかることになってしまうのです。
しかし、土地を手放した方が良いケースもあります。
例えば支払う所得税よりも節税効果が高い時です。
医療法人に移転することも選択肢の一つだと言えます。



建物の場合は2年後がポイント

建物は土地と異なる問題が発生します。
建物の減価償却をした後の金額で手放すと、売却益は発生しませんが、消費税が問題です。
現在は自由診療の収益が年間で1000万円を超えていると、課税事業者となり消費税の納税対象となります。
建物を所有して課税事業者になっていると現物出資や売った時に、その消費税を支払わなければならないということです。
購入した場合や現物出資をしてもらった場合には、設立後2年間は納める必要はなく還付もありません。
年度の途中で法人化すると1年間に換算して計算をするため、例えば7月から事業を開始して自由診療の収益が600万円だとすると600万×12ヶ月÷6ヶ月=1200万円となって1000万円以上となり、翌々年度に課税事業者となります。
そのため、事業開始時よりも2年後に売った方が消費税を納める必要が無くなり、さらに課税事業者の状態で建物を購入すると一部の還付が受け取れます。
このようなことがあるため、手放すべきか所有しておくべきか、またそのタイミングをしっかり判断して設立するようにしましょう。