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COLUMN コラム

公益財団の医療法人は金庫株が使えるのか? 

自社株を買い戻して保有すること


金庫株は発行した自社株を買い戻して、そのまま保有しておくことを言います。
このような名前がついた背景には、自分の株式を金庫にしまっておくことができるという意味があるからです。
株価の下落を止めることや、買収の防衛策として活用している企業も多いです。
後継者が相続した自社株を、再び会社が買い取ると相続税の納税資金にあてることができる場合や、経営権を後継者に集中させることもメリットとして挙げられます。
企業にとってはメリットのある金庫株ですが、公益財団などの医療法人も同様に使えるのか疑問に思う院長もいるのではないでしょうか
通常では、事業承継対策の一環として買い取るときには、余剰金の分配可能額をクリアしているか、お金は十分にあるか、株主との関係は友好かなどを検討し、全て問題がなければ可能です。
しかし、公益財団などの医療法人はこの制度を利用できないため注意してください。



制度を利用できない理由

公益財団などの医療法人が金庫株を使えない理由は、配当所得になるからです。
承継者以外の相続人も持分を取得でき、運営に関係のない人が持分の払い戻しを請求してくる可能性があります。
このとき、法人が払い戻してしまうと配当所得となってしまうのです。
そもそも医療法人は配当ができないのに、なぜ配当所得になるのかといった疑問がありますが、法律ではどのような場合も払い戻したお金は該当すると定義されています。
給与や住民税なども合算し、所得税が割り出されます。
また、承継者以外の相続人は全て所得税として取られるわけでなく、最低でも45%は残るため請求してくるでしょう。
このような状態が続けば、法人としてのお金が無駄な所得税として消えていくことになり、承継者とそれ以外の人で争いが起きるかもしれません。
金庫株があることで、このようなトラブルに発展する可能性があるため、公益法人は使うことができないと決まっています。
他にも一般的な企業と異なる制度があります。
これから設立を検討している院長は、トラブルを回避するためにも専門業者に相談しながら手続きを進めていきましょう。