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COLUMN コラム

公益財団の医療法人で個人の運転資金を負債として引き継げない理由とは 

負債は医療法人に引き継げない


個人開業をしていた頃に、運転資金が足りず負債を抱えてしまった人もいるのではないでしょうか。
その場合に、個人から公益財団などの医療法人に移行して負債も引き継ごうと考えている人がいるかもしれません。
しかし、公益財団などの医療法人は個人の負債を引き継ぐことができません。
その理由は、運転資金の効果はすでに個人開業時代に得ているものだと考えられているからです。
また、個人で運営していた診療所、クリニックの運転資金のために借入をして、それにあてていたと主張しても、証拠がありません。
事業所得の利益の一部になっている可能性もあります。
中には、他の借り入れを返済するために使っていたり、生活のため、子供の学費のために使っている人もいるかもしれません。
このような理由から、公益財団などの医療法人は個人で開業していた時の負債を引き継ぐことができないのです。



負債を引き継ぐためには証拠が必要

場合によっては、証拠があれば負債も引き継ぐことができます。
例えば、借り入れを、実際に診療所やクリニックの運転資金にあてていたという証拠です。
契約書や領収書などの根拠となる資料を用意しなければなりません。
自治体によって、その資料の融資実行日以降の日付も求めてくることもあるため注意が必要です。
このような根拠となる資料がなければ、負債を引き継ぐことはできません。
この場合、役員報酬から個人で返済をすることになりますが、トラブルに発展しないようにするためにも、当事者が納得した上で行う必要があります。
金銭消費賃借契約書は、名目に注意しましょう。
設備費用や医療機器の購入費という名目で、運転資金ではないということを明示してください。
個人時代の時にブローカーが介入していると、開業資金として一つにまとめ、わかりにくくしていることも少なくありません。
返済予定表も必要です。
紛失した場合には、金融機関に再発行してもらいましょう。
個人で開業していた頃の負債を医療法人にも引き継ぐためには、準備が必要になり、金融機関にもできるだけ早いタイミングで相談しなければなりません。
専門家に相談しながら法人化することが大切です。