医療法人の法人格を買収するという選択肢とは?クリニック経営者が知っておくべき注意点と行政手続きの重要性

クリニック開業・経営

2025/5/8 2025/5/14

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

クリニック経営者の間で「医療法人の新設」だけでなく、「既存医療法人の買収」という選択肢についてのご相談が多くあります。

特に分院展開や資金調達、相続・承継を検討するタイミングで、「法人格を買いたい」と考える経営者も多いようです。

しかし、医療法人の買収には高度な法的知識と複雑な行政手続きが求められます。

場合によっては医療法や都道府県の指導に抵触する恐れもあり、適切な専門家の支援なく進めると、大きなリスクを背負うことになりかねません。

本記事では、医療法人の法人格の買収に関心を持つクリニック経営者に向けて、制度の仕組み、リスク、行政手続きの重要性、そして信頼できる行政書士の関与がなぜ不可欠なのかを詳しく解説します。

1. 医療法人の買収が注目される背景

なぜ「法人格の買収」が増えているのか?

  • 医療法人の新設が厳格化:医療法人を新たに設立するには、都道府県の認可を得る必要があり、個人開設してからの実績を求められたり、年2回の締切など申請できるタイミングが限られていたり、認可・開設許可まで6ヶ月以上かかるなどスケジュールの問題があります。
  • スピード重視の経営判断:分院展開や相続対策で時間的猶予がない場合、既存法人の買収によりスムーズな法人運営を目指すケースがあります。
  • 節税・資金調達ニーズ:医療法人化による節税効果や、法人としての信用力を利用した資金調達など、経営戦略としての活用

 

2. 医療法人の「法人格」を買うことは可能か?

医療法人そのものを「売買」する行為は、一般法人とは異なり、医療法や都道府県の運用に大きく左右されます。

医療法人は誰のものか?

医療法人は公益性の高い存在であり、「営利目的の譲渡」は原則として想定されていません。

ただし、以下のような方法で実質的な「法人の承継」が行われているのが実情です。

  • 理事の交代(経営権の移転)
  • 社員の入替え(社員が法人の構成員)
  • 役員変更に伴う経営方針の刷新

このような承継型の買収スキームはグレーゾーンが多く、法的リスクや行政からの指導を受ける可能性もあるため、慎重な対応が必要です。

特に、民間企業が医療参入しようとする際には非営利性の徹底を理解する必要があります。

3. 医療法人買収における主なリスクとは?

法制度違反のリスク

買収スキームの設計によっては、医療法違反や都道府県のガイドライン逸脱に該当し、以下のような重大なペナルティを受ける可能性があります。

  • 許認可の取り消し
  • 業務停止命令
  • 保険診療の制限
  • 社会的信用の喪失

 

事業承継が失敗するケースも

  • 前理事と新理事の意思疎通が不足
  • 債務や訴訟リスクの把握不足
  • 職員や患者の混乱

こうした問題は、法的・行政的チェックが甘いまま買収を進めたことが原因となるケースが少なくありません。

4. 買収時に必要な行政手続きとは?

医療法人の承継・買収には、次のような行政手続きが求められます。

主な必要手続き

手続き名 概要
定款変更認可申請 定款の内容を変更する場合に必要
役員変更届 理事長・理事の交代
管理者変更届 クリニックの管理者が変わる場合
医療機関開設許可(再届) 名義変更がある場合には再許可が必要
法人登記の変更 法人の登記簿情報も最新化が求められる

このように、多岐にわたる手続きが発生し、どれか一つを見落とすだけでも後々の運営に大きな支障が出ます。

5. なぜ行政書士の関与が不可欠なのか?

医療法務に精通した行政書士でなければ危険

医療法人の手続きは、一般的な法人の売買と違い、「医療法」「医師法」「地域医療計画」など多くの法律と実務運用に準拠する必要があります。

行政書士の中でも、以下のような専門性を持ったパートナーが理想です。

  • 医療法人設立や分院開設の実績が豊富
  • 各自治体の審査基準を熟知している
  • 医療広告ガイドラインや診療報酬制度にも理解がある 

「知らなかった」では済まされない現実

医療法人の買収スキームに不備があると、経営者個人の責任問題にも発展しかねません。

専門の行政書士が介在することで、リスクを未然に防ぎ、計画的な承継・買収が実現可能になります。

6. 行政書士への相談を検討すべきタイミング

以下のような状況にあるクリニック経営者は、今すぐ専門家への相談をおすすめします。

  • 医療法人の買収案件を紹介された
  • 分院展開や法人化を検討している
  • 承継相手を探している or 売却を検討している
  • 行政手続きに不安がある
  • 医療法人の買収か、一般社団法人による診療所開設の方が良いのか悩んでいる

 

7. まとめ:医療法人買収を成功させるために

医療法人の法人格を買収することは、クリニック経営における大きな転機となり得ます。

しかし、医療法制度の理解と行政手続きの精度がなければ、その挑戦は大きなリスクを伴います。

医療法人は一般の会社とは異なり、非営利性を徹底する必要があり、株式会社などの営利法人とは根本から異なります。

だからこそ、信頼できる行政書士を味方につけることが、最良の経営判断です。

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