開業医の年収はどれくらい?成功するクリニック経営の秘訣と行政手続きのポイント
クリニック開業・経営
2025/5/7
2025/5/14

この記事の監修

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役
古川 晃
医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績
将来、開業を目指す若手医師にとって「開業医の年収」は非常に気になるテーマです。
勤務医よりも高収入が期待できる一方で、経営の責任やリスクも伴う開業。
この記事では、開業医の平均年収、診療科目別の年収差、クリニック経営を成功させるためのポイント、そして開業に必要な行政手続きと専門家活用の重要性について詳しく解説します。
開業を検討している医師の方は、ぜひ参考にしてください。
開業医の平均年収はどれくらい?
厚生労働省のデータや医師向けの転職・開業支援サービスの調査によると、開業医の平均年収はおよそ2,000万円〜2,500万円程度が相場です。
ただし、これはあくまで平均値であり、地域や診療科目、集患力、経営手腕によって大きな差があります。
診療科目別・年収の目安
診療科目 | 平均年収の目安 |
内科系(一般内科、小児科など) | 約1,500〜2,000万円 |
外科系(整形外科、皮膚科など) | 約2,000〜3,000万円 |
美容系(美容皮膚科、美容外科) | 約3,000万円〜5,000万円以上 |
自由診療中心(再生医療、AGAなど) | ピンキリ(500万円〜億単位) |
自由診療を取り入れるかどうかで年収に大きな差が出るのが特徴です。
勤務医との年収比較
勤務医の平均年収は1,200万円〜1,500万円前後とされており、開業医は年収ベースで約1.5倍〜2倍程度高い傾向があります。
とはいえ、開業医の年収は「売上」から「経費(人件費・家賃・設備投資など)」を差し引いた「利益」である点には注意が必要です。
開業医が高収入を得るための経営成功ポイント
開業しても経営がうまくいかなければ、年収は勤務医以下というケースも珍しくありません。ここでは、クリニック経営で成功するための実践的なポイントを解説します。
1. 地域ニーズに合った診療科目を選ぶ
開業場所と診療科のマッチングは非常に重要です。
人口構成や競合の有無、地域住民のニーズを事前にリサーチし、自分の専門と需要が一致するエリアを選ぶことで、初期から安定した集患が見込めます。
例:
- 高齢者が多い地域 → 内科・整形外科
- 若年層が多い地域 → 小児科・皮膚科
- 都心部 → 美容皮膚科・自由診療
2. 初期投資と経費をコントロールする
クリニック開業にかかる初期費用は5,000万円〜1億円程度といわれています。
内訳は、物件取得費、医療機器、内装工事、人材採用などです。
初期費用を抑える工夫(中古医療機器の活用、必要最低限のスタッフ構成など)をすることで、黒字化までの期間を短縮できます。
また、経営が軌道に乗ってから設備投資を増やす「スモールスタート」戦略もおすすめです。
3. 集患とリピーター獲得の工夫をする
どれだけ良い医療を提供していても、患者が来なければ経営は成り立ちません。
ウェブマーケティングやSNS活用、口コミサイトの管理、地域密着型のPR活動など、集患対策に力を入れましょう。
また、リピーターを増やすためには、受付対応や待合室の環境、診療のわかりやすさなど、患者体験の向上が不可欠です。
4. 優秀なスタッフの採用と教育
クリニック経営において、スタッフの質は非常に大きな影響を与えます。
医師一人で患者対応のすべてをこなすのは困難なので、受付・看護師・事務スタッフの採用と教育が重要です。
信頼できるスタッフが揃えば、医師は診療に集中でき、患者満足度も高まり、自然と集患につながるという好循環が生まれます。
5. 税務・労務・法務・行政手続きの専門家を味方につける
開業医は医師であると同時に経営者です。
医療は専門でも、税務や労務、法律、行政手続きについては専門外である場合がほとんど。
特にクリニックを開設する際には、保健所への診療所手続、保険医療機関の指定申請や法人可のための許認可など、さまざまな許認可や行政手続きが必要です。
これらの手続きはミスや遅れがあると開業日がずれ込み、収入にも直結しかねません。
そのため、医療分野に強い行政書士を早めに味方につけることが、スムーズな開業と経営の安定化には不可欠です。
行政書士は、煩雑な申請業務を代行するだけでなく、必要な手続きのスケジュール管理や役所との交渉もサポートしてくれるため、医師は診療準備や集患戦略に専念できるメリットがあります。
また、資金調達や資金繰り、税金のこともおろそかにはできません。
医業経営に詳しい税理士を味方につけましょう。
スタッフの雇用についても、雇用契約、就業規則、年金、保険関係の手続きや給与計算など、事務手続きはたくさんあります。
特に初めて開業する医師にとっては、「知らなかった」では済まない手続きの抜け漏れリスクを回避するために、医業経営に詳しい士業は強力なパートナーとなるでしょう。
開業で失敗しないために知っておきたい注意点
開業すれば自動的に年収が上がる、というわけではありません。
以下のようなポイントには注意が必要です。
- 経営が軌道に乗るまで1〜2年は赤字になる可能性がある
- 院長としてスタッフマネジメントや経営判断を求められる
- 許認可手続きのミスや遅れによるトラブル
- 競合との差別化ができないと集患が厳しい
- 経費管理や資金
まとめ|開業医は高収入を得られるが、経営力と準備がカギ
開業医は、勤務医に比べて高い年収を得られる可能性がありますが、それを実現するには経営者としての視点と戦略、そして専門家の力を活用する意識が必要です。
これから開業を目指す若手医師は、「自分はどの地域で、どんな医療を提供したいのか」を明確にし、計画的に準備を進めることが成功の第一歩となります。
成功すれば、経済的な自由とやりがいの両方を手に入れることができるのが開業医の魅力です。
今から情報収集を始め、理想のクリニックを実現しましょう。
医療法人の設立・運営面についてサポートします!
医療許認可の専門家として17年。医療許認可1,500件以上の実績。
医療法人化または一般社団法人による診療所開設、
分院開設、医療法務顧問、補助金、助成金支援までサポートしております。
医療法人の専門家にお気軽にご相談ください