美容クリニックを開業するための手順と成功させるためのポイント

クリニック開業

2025/2/21 2025/2/21

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

美容医療の需要が高まる中、独立して美容クリニックを開業したいと考える医師も増えています。

しかし、開業には多くの準備と戦略が必要です。

また、医療法で多くの規制がされていますから、一般の事業のように自由に始めることはできず、開設ができないなんてことも起こり得ます。

本記事では、美容クリニック開業の手順と成功させるためのポイントを詳しく解説します。

美容クリニック開業に必要な資格はある?

美容クリニックを開業するためには、当然医師免許が必要です。

日本では、美容外科や美容皮膚科といった分野は自由診療であり、特別な専門医資格は必須ではありません。

しかし、以下のような資格があると信頼性が増し、患者からの安心感にもつながります。

一例

  • 日本美容外科学会(JSAS、JSAPS)認定の専門医資格
  • 日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医
  • 抗加齢医学会の専門医資格

等々

昨今は、美容クリニックもかなり増えており競争が激化しています。

また、患者様もリテラシーが上がってきてどのクリニック、どの先生が良いかを選ぶ時代になってきています。

何かしらの強みを認知してもらうために、専門的な資格や経験を持ってSNS等で情報発信をしていくことが差別化にもなります。

医療機関を開設するためには保健所への開設届出や一般社団法人の設立と診療所の開設許可申請(法人化する場合)などの行政手続きが必要になります。

美容クリニック開業の手順

続いて、美容クリニックの開業の手順について解説します。

1.クリニックのコンセプトを決める

開業前に、クリニックのターゲット層や提供する施術内容を明確にしましょう。

例えば、

  • 美容皮膚科(シミ・しわ治療、レーザー施術など)
  • 美容外科(二重整形、脂肪吸引、隆鼻術など)
  • 男性向け施術(AGA治療、ヒゲ脱毛など)
  • 再生医療(幹細胞治療、PRP療法など)

ターゲットと施術内容を明確にすることで、他のクリニックとの差別化を図ることができます。

また、どのようにターゲットに認知してもらうか、情報発信が1番の差別化となり得ます。

現在ではSNSの活用が認知拡大に効果的になっています。

2.物件を探す

クリニックもやはり一種の店舗事業ですから、立地は成功の鍵を握ります。

ターゲット層に合った立地を選ぶことが最も重要です。

  • 駅から徒歩5分圏内の場所
  • 高級住宅街・商業エリア(富裕層向け)
  • 大学やオフィス街の近く(若年層・社会人向け)

等々

また、テナント契約の際は医療機関の入居が可能かを必ず確認しましょう。

また、当然ですが競合調査は必須です。全く競合がゼロの場合はなぜゼロなのかの分析もしましょう。

競合がうまくいかず根付かない理由があるかもしれません。

強みを生かし競合と差別化して生き残るための道筋→マーケティング戦略策定は必須です。

3.資金調達

美容クリニック開業には数千万円以上の初期投資が必要になるケースが多く、都心部では1億を超えることも多くなってきました。

資金調達方法としては、

  • 自己資金(貯蓄や親族からの支援)
  • 金融機関からの融資(日本政策金融公庫、銀行ローン)
  • 投資家・パートナーの協力

また、開業後の運転資金も確保しておくことが重要です。

近年は、保険診療をやらない自費専門のクリニックには融資が出づらくなってきている傾向にあります。

やはり競合が激化していますから、金融機関も多額の資金を融資するのは慎重になっています。

それもあってか、投資家等から資金提供を受けるケースも増えていますがこれがまたトラブルの原因ともなっています。

ただでは誰もお金を出してはくれません。意見が割れたり言いなりにならざるを得なくなったりして、本来あるべき医療の姿から外れたり、仲間割れを起こしたりするケースも多くなっています。

当然、保健所も警戒しています。

4.内装・設備・医療機器を選定する

クリニックのデザインは、患者様の印象を左右します。

清潔感があり、リラックスできる空間を作りましょう。

また、使用する医療機器も慎重に選びます。

  • レーザー機器(脱毛・シミ治療)
  • ヒアルロン酸・ボトックス注入機器
  • 最新の再生医療機器
    等々

医療機器の選定には、メーカーのサポートや保証内容もチェックしましょう。

あまりに過大に設備資金へ投下をすると毎月の損益分岐点が高くなり返済が苦しくなります。

こだわりの医療をしたい気持ちは素晴らしいですが、経営の観点は忘れずにいきましょう。

5.開業準備手続きを行う(行政手続)

行政手続に不備があると、開設ができなかったり遅れたりして損失が生じることもあり得ます。

事前に保健所や、医療許認可に詳しい医療法専門の行政書士に相談などしながら慎重に進めましょう。

  • 保健所への開設届出、保健所職員立ち会いによる実地検査
  • 保険診療を行う場合は保険医療機関指定申請
  • 税務署・年金事務所などへの手続き
  • 医療広告のガイドライン遵守
  • 法人化する場合は、非営利型一般社団法人の設立や、開設許可申請など

法的手続きも漏れなく進めることが重要です。

これに不備があると開設ができなかったり遅れたりすることもあります。

家賃や人件費など損失は大きいですから、事前にチェックが必要です。

特に、診療所の構造、平面図の確認を保健所に必ず行い、OKをもらってから工事着工しないと、後で工事し直しになると大きな損失です。

美容クリニック開業を成功させるためのポイント

最後に、美容クリニック開業を成功させるためのポイントをいくつかご紹介します。

1.資金計画を立てる

初期費用だけでなく、開業後のランニングコスト(家賃、人件費、広告費など)も考慮した資金計画を作成しましょう。

開業後すぐに黒字化するとは限らないため、最低でも6ヶ月分の運転資金を確保するのが理想です。

2.アクセスのよい場所に開業する

立地は集患に直結します。

駅近・商業エリア・人通りの多い場所を選び、利便性を確保しましょう。

3.実績や経験のあるスタッフを採用する

医師一人ではクリニックは運営できません。

経験豊富な看護師や受付スタッフを採用し、チームワークを重視した運営を目指しましょう。

4.クリニックデザイン

美容クリニックは「美」を提供する空間です。

清潔感があり、高級感のある内装にすることで、患者の信頼度が向上します。ただし、資金のかけすぎは経営を圧迫します

5.SNSを運用する

SNSマーケティングは、美容クリニックにとって重要な集患ツールです。

近年は特に強い影響力を持ちます。

  • Instagram(施術例・ビフォーアフター画像)
  • YouTube(施術の流れや解説動画)
  • LINE公式アカウント(予約管理・クーポン配布)
  • TikTok
  • X(旧Twitter

等々

広告規制を遵守しながら、効果的なSNS運用を行いましょう。

まとめ

美容クリニック開業には、コンセプトの明確化・資金計画・立地選定・スタッフ採用・マーケティング戦略、行政手続きなど、多くの準備が必要です。

成功の鍵は、事前準備を徹底し、差別化を図ることにあります。

行政手続きなどは専門家に任せて、マーケティング戦略策定の重要性を甘くみることなく、しっかりと注力して市場調査、競合調査、自己分析を行なって効果的にターゲットにリーチする計画を立てましょう。

医療も開業する以上は事業であり経営です。

開業後も継続的な改善を行い、患者様とスタッフに長く愛されるクリニックを目指しましょう!

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