開業医のための資金繰り術:キャッシュフローを安定させる5つのコツ
クリニック開業
2025/2/14
2025/2/14

この記事の監修

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役
古川 晃
医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績
開業を目指す医師にとって、資金繰りはクリニック経営の大きな課題のひとつです。医療技術に自信があっても、資金繰りに失敗すると経営が立ち行かなくなることも。
特に開業初期は、設備投資や人件費などの固定費がかさみ、収益が安定するまでの間に資金ショートを起こすリスクがあります。
本記事では、開業医さんがキャッシュフローを安定させるための5つのコツを紹介します。
経営が軌道に乗るまでの資金繰りをスムーズにし、安心して診療に集中できるようにしましょう。
1. 初期投資は必要最小限に抑える
クリニック開業には、内装・設備投資、医療機器の購入、広告宣伝費など、多額の資金が必要になります。
しかし、開業時に必要以上に投資してしまうと、返済負担が大きくなり、資金繰りが厳しくなります。
憧れの開業、こだわりの診療、その気持ちが強すぎると、設備投資が多大になり必要な資金が大きくなります。
結果、損益分岐点が高くなり、金融機関への毎月の返済が非常に苦しくなり、利益が残りづらい体質になってしまいます。
コストを抑えるポイント
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医療機器は中古やリースを検討する
高額な医療機器をすべて新品でそろえると、初期費用が膨らみます。
リースやレンタルを活用することで、初期投資を抑えつつ、必要な機器を確保できます。
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内装は必要最低限にする
クリニックの内装にこだわりすぎると、工事費用がかさみます。
患者にとって居心地の良い空間は大切ですが、最初から豪華にする必要はありません。
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広告費はデジタルを活用して節約
チラシや看板だけでなく、Web広告やSNSを活用すれば、コストを抑えつつ集患効果を高めることができます。
「すべて完璧に整えてから開業する」のではなく、「必要最小限でスタートし、収益が安定したら徐々に拡充する」という考え方が大切です。
2. 固定費を必要最小限に抑える
キャッシュフローを圧迫する最大の要因は固定費です。
開業初期は売上が不安定なため、固定費が高いと資金繰りが厳しくなります。
固定費を抑える方法
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賃料の安い物件を選ぶ
立地は重要ですが、賃料の高い一等地にこだわる必要はありません。
患者が来院しやすい環境を確保しつつ、賃料を抑える工夫をしましょう。
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人件費をコントロールする
開業当初からスタッフを多く雇いすぎると、経営を圧迫します。
最小限の人員でスタートし、業務量が増えてから増員するのが理想的です。
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光熱費や通信費の見直し
小さな支出でも積み重なると大きなコストになります。
電気や水道、インターネット契約など、無駄な費用がないか定期的にチェックしましょう。
経費を見直すことで、キャッシュフローの安定につながります。
3. 資金の流れを可視化し、収支管理を徹底する
キャッシュフローを安定させるには、資金の流れを正確に把握することが欠かせません。
具体的な管理方法
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資金繰り表を作成する
毎月の収入・支出の予定を一覧にし、資金の流れを可視化しましょう。
先々の資金ショートを防ぐために、3ヶ月〜6ヶ月先までの計画を立てるのが理想です。
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会計ソフトを活用する
手作業での管理はミスが生じやすいため、クラウド型の会計ソフトを活用すると便利です。
銀行口座やクレジットカードと連携できるものを選ぶと、リアルタイムで資金状況を確認できます。
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医療経営に詳しい税理士や、医療許認可や制度に詳しい行政書士などの専門家と連携する
開業医は診療業務に追われがちなので、専門家の力を借りることも重要です。
身近におき相談しながら、効率的な資金管理を進めましょう。
資金の流れを把握し、適切な計画を立てることで、資金繰りの不安を軽減できます。
また、医療法を確認しながら進める必要があるので、医療法や役所対応に詳しい行政書士も身近においておきましょう。
4. 保険診療の入金サイクルを考慮する
保険診療の収入は、診療を行った翌々月に支払われる仕組みになっています。
そのため、開業初期は売上があっても現金が手元に入るまで時間がかかり、資金繰りが厳しくなりやすいです。
対策
- 開業前に運転資金をしっかり確保する:最低でも6ヶ月分の運転資金を用意しておくのが理想です。
- 自由診療を取り入れる:自由診療は患者から直接支払いを受けるため、即時に現金が手に入ります。自費診療メニューを導入することで、キャッシュフローを安定させることができます。
- 銀行融資や助成金を活用する:開業時に融資を受ける場合は、余裕を持った借入額を設定し、運転資金を確保しておきましょう。
保険診療の入金タイミングを理解し、計画的に資金を管理することが重要です。
5. 緊急時の資金調達手段を確保する
万が一、資金ショートしそうになった場合の対策も準備しておくことが重要です。
資金調達の方法
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銀行の融資枠を確保しておく
事業用の融資枠をあらかじめ設定しておくと、いざという時にスムーズに資金を調達できます。
常に、金融機関とのパイプを大事に考えて行動しておくことが重要です。
ピンチになってからでは金融機関は動いてはくれません。
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公的支援制度を活用する
日本政策金融公庫や自治体の助成金・補助金を活用すれば、低金利で資金を調達できる可能性があります。
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診療報酬ファクタリングを活用する
診療報酬の入金を前倒しできるサービスを利用すれば、一時的な資金不足を補うことができますが、手数料が高く余計に資金繰りが苦しくなることがありますので、安易に手は出さない方が良いでしょう。
まとめ
開業医がキャッシュフローを安定させるには、以下の5つのポイントが重要です。
- 初期投資を最小限に抑える
- 固定費をできるだけ削減する
- 資金の流れを可視化し、収支管理を徹底する
- 保険診療の入金サイクルを考慮する
- 緊急時の資金調達手段を確保する
医療経営に詳しい税理士、や医療の許認可、制度に詳しい行政書士などの頼れる専門家を身近に置いておくことが、リスクを事前に排除し経営を安定させるコツです。
資金繰りの不安を減らし、安心してクリニック経営をスタートできるよう、ぜひ実践してみてください。
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