医療法人化を進めて後悔しないために知っておきたい失敗事例と失敗しないためのポイント

医療法人化

2024/11/20 2024/11/27

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

勤務医時代を経て、個人院を開設し、ある程度経営が順調に進んでいる開業医様が必ず考えるのが、医療法人化ですよね。

先輩が医療法人化している、税理士さんから進められた、友人も医療法人化している、だから自分も。

でも、実際どうなんだろう?メリットは?デメリットは?後で後悔しないかな?そんなお悩みを持たれる院長先生も多くいらっしゃると思います。

なので今回は、医療法人化を進めて後悔しないために知っておきたい失敗事例と失敗しないためのポイントというテーマでお伝えします。

医療法人化の失敗事例を紹介し、失敗を回避するためのポイントを詳しく解説しますので、失敗して後悔をするというリスクを軽減できるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

1. 失敗事例から学ぶ:医療法人化のリスク

まずは3つの失敗事例とポイントをご紹介します。

1.1 税制面での誤算 あまり得をしなかった

事例:会計処理や事務負担が増えた割に、節税効果があまり出ず、メリットよりもデメリットの方が大きくなってしまった

ポイント

医療法人には、個人開設時にはなかった毎年の事業報告や各種の行政手続きが発生します。

それらを自分でやるのは非常に大変で、行政書士に代行を依頼すればその報酬が必要になりますし、税務申告も個人より大変ですから、税理士報酬も上がったりします。

新たに社会保険に加入したり給与計算が煩雑になったりなどで社会保険労務士報酬も発生するかもしれません。

法人化を検討する際には、法人税や消費税の仕組み、医療法人特有の規制や義務をあらかじめ把握しておくことが必要で、それでもメリットがあるかあまりないのか、医療経営支援を得意とする税理士や行政書士に事前相談を行い、計画的な戦略を立てることで、予想外の負担を防ぐことができます。

1.2 お金の使い道が不自由になった

事例:私物の高級車を医療法人で買っていたために、分院開設の認可が得られず診療開始が遅れ、先に契約してしまったテナントの空家賃が生じてしまった。

ポイント

法人と個人では資産は完全に分離されます。

つまり法人のお金は法人のもの。個人経営時のように個人が自由に使えるものではなくなります。

医療法人化すると資金の運用や配分に関する制約が生まれ、それに反していると新たな認可が得られずその都度問題が生じたりします。

何が経費として認められるのか、医療経営支援を得意とする税理士、行政書士と事前に相談してから進めていけばそんなリスクも避けられます。

1.3 都道府県にお金の使い方を指導された

事例:分院開設のための認可を申請した際に医療法上禁止されている支出があり、改善指導された

ポイント

税法と医療法は別物です。

それぞれの規制があります。

医療経営に詳しくない税理士さんだと、医療法を考慮せず税務処理を行なってしまうことが多くあります。

そうすると新たな認可を得たいときに是正を求められて認可が得られないということが多発しています。

医療経営に詳しい税理士、行政書士と相談をしながら経営を行なっていく必要があります。

2. 医療法人化における失敗を防ぐためのポイント

続いて、医療法人化における失敗しないためのポイントを5つご紹介します。

2.1 法人化の目的を明確にする

まず、法人化をする目的を明確にしましょう。

税制面のメリットだけでなく、法人化が本当に適しているかを見極めることが重要です。

たとえば、クリニックの規模拡大、従業員の福利厚生向上などの目的が法人化によって果たせるのかを専門家とともにしっかりと時間をかけて検討しましょう。

2.2 専門家への相談を徹底する

法人化に関する法律、税務、労務などの分野は専門性が高いため、必ず医療経営に詳しい税理士や行政書士などの専門家に相談することでこんなはずじゃなかったをできる限り未然に防ぐことができます。

2.3 資金計画の立案と管理

資金計画は経営にとって重要です。

法人化の際には、運転資金、設備投資、緊急時の資金など、資金繰りの健全性を保つために計画する必要があります。

その上で、法人化によって得られる節税メリットだけでなく、増加するコストも合わせて把握しておくことが重要です。

2.4 役員報酬の計画性

役員報酬の設定は、法人の経費として計上されますが、多くしすぎると結局個人の所得税が増えて節税メリットは減少します。

好きな時に好きなように変えられるものでなく一定の制限を受けますので、業績とご自身のプライベートで必要な資金などを考えながら税理士と協議していきましょう。

2.5 コンプライアンスとガバナンスの強化

失敗を防ぐポイント:医療法人の運営には、法規制が増え定期的な報告義務や各種手続きが課され、事務コストが増えます。

医療経営に詳しい行政書士に任せれば手間は省けますが、その分コストは増えますから、それもあらかじめ把握しておきましょう。

3. 医療法人化のメリットを最大限享受するために

医療法人化は、適切に計画され、管理されれば、多くのメリットがあります。

  1. 法人化により組織としての社会的な信頼性が向上し、人材の採用や資金調達においても有利に働く
  2. 個人開設ではできなかった、分院開設ができる
  3. 法人の経費で保険に入ることができる

その他もろもろ、医療機関の長期的な運営において大きなメリットがたくさんあります。

ただし、これらのメリットを享受するためには、十分な準備と計画が必要です。

特に以下の点を意識することが重要です。

  • 中長期的な経営戦略:法人化後の5年、10年後を見据えた経営戦略を立てること。規模はどのくらいを目指すのか、分院展開は?人材の採用、育成は?資金調達は?
  • チーム構築:医療経営に詳しい税理士、行政書士、社労士、その他Webマーケティング、SNSプロモーションなどの信頼できる医療経営支援の専門家からなるチームを形成し、適切な助言を得ること。
  • コンプライアンス:古い価値観に縛られすぎず、最新の情報を取り入れ、良いものは積極的に取り入れていくことは重要だが、医療法人は法律による規制が多く、営利法人のように自由な経営ができないことがボトルネックになることも理解しておくこと。

まとめ

医療法人化は、多くのメリットがある一方で、適切な準備や専門家のサポートがなければ後悔を招くリスクがあります。

医療法の規制を把握せず、今までと同じ感覚で運営を続けると、失敗に陥る可能性が高くなります。

しかし、事前に適切な知識を身につけ、失敗事例から学び、リスク管理を徹底すれば、医療法人化によるメリットを最大限に引き出すことができますから、まずはしっかりと頼れるチームを作りましょう。

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