「分院展開」と「ドクター採用」の壁を突破せよ!節税だけじゃない、攻めの医療法人化戦略

分院開設

2026/2/18 2026/2/18

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

日々の診療、誠にお疲れ様です。

開業当初は「患者さんが来てくれるだろうか」と不安だったクリニックも、今では待合室が溢れるほどの盛況ぶり。

経営者としては嬉しい悲鳴ですが、ふと、こんな不安に襲われることはありませんか?

「もし今、自分が病気で倒れたら、来月のスタッフの給料はどうなる?」

「売上は上がったが、休みは減った。いつまでこのペースで働き続けるのか?」

多くの「勝ち組」個人開業医の先生が、この「院長一人相撲」の限界に直面します。

解決策は「ドクターを採用すること」や「分院を出してリスク分散すること」。

しかし、個人のクリニック(個人事業主)のままでは、その実現には法律上・信用上の大きな壁が立ちはだかります。

今回は、「節税」だけではない、クリニックを「組織」として強くし、院長先生を過重労働から解放するための「医療法人化」という選択肢について解説します。

【理由1:分院展開】個人では「2つ目のクリニック」を出せない法律の壁

「隣の駅にもう一つクリニックを出したい」

そう考えたとき、個人事業主のままでは実現不可能であることをご存知でしょうか。

医師法などの規定により、「医師は、自ら管理しない診療所を開設できない(二箇所管理の禁止)」という原則があります。

つまり、先生が本院の院長(管理者)である限り、先生の名前で分院を開設し、管理者を兼任することは、例外を除き認められません。

分院を作るには、「医療法人」という人格を作り、法人が開設者となる必要があります。

そして、分院には別の医師を「管理者(分院長)」として据えるのです。

これにより、先生は「理事長」として複数のクリニックを統括する経営者のポジションに就くことが可能になります。

将来的に「自分は週2回の診療に抑え、経営に専念する」というキャリアプランを描くなら、医療法人化は必須のパスポートです。

時々、他の先生に個人開業をさせ、実質は自分が資金などを出してコントロールし、雇われ院長のようにする方法を取る医院を見ますが、違法です。

あくまで、個人院は開設者(診療所のオーナー)と管理者(院長)は同一である必要があり、外部から経営支配や関与を受けてはならず経営主体は独立していなければならないとされています。

【理由2:採用力】「勤務医」から選ばれるクリニックになるために

今は空前の「医師売り手市場」です。

優秀な勤務医やスタッフを採用しようとしても、個人のクリニックにはなかなか人が集まらないのが現実です。

一方で、集まるところには集まる。その差は色々ですが、できることからやっていきましょう。

「社会保険完備」は最低ライン

求職者(特に若い医師や看護師、歯科衛生士などのスタッフ)は、福利厚生に敏感です。

個人事業でも5人以上雇えば社保強制適用ですが、法人であれば人数に関わらず強制適用となり「社保完備(厚生年金・健康保険)」を堂々とアピールできます。

「国民年金や医師国保の自己負担」を嫌がる求職者にとって、これは大きな安心材料です。

看護学校や衛生士学校などでも、個人診療所より法人の方が良いという話になっていることが多いです。

確かに、客観的に見れば新卒の子たちからすれば、事実はどうあれ個人商店よりも法人の方がなんとなく安心なイメージはありますよね。

法人の「ブランド力」とキャリアパス

「〇〇医院」の従業員になるのと、「医療法人社団〇〇会」の職員になるのとでは、住宅ローンの審査や社会的信用において、後者の方が有利なケースが多いです。

医療法人は設立に認可が必要で、審査上ヒト・モノ・カネが揃っている必要がありますし、コンプライアンス違反があっては認可は得られません。

つまり、一定の信用があるということです。

個人開設は自由度が高い分、裏を返せば客観的には信用が見えづらいということです。

また、優秀な勤務医に対して、将来的に「法人の理事」や「分院長」という重要な役員のポストを提示できるのも法人ならでは。

「一生、勤務医」ではなく「経営ボードメンバーへの道」を示すことで、右腕となるドクターの定着率を高められます。

【理由3:退職金】個人のままでは「老後資金」が貯まらない残酷な現実

意外と見落とされがちなのが、院長先生ご自身の「出口戦略(リタイア)」です。

個人事業主には「退職金」という概念がありません。

廃業した時に手元に残っている現金がすべてです。「小規模企業共済」などはありますが、積立額には上限があります。

一方、医療法人化すれば、先生は法人の「役員」になります。

長年勤め上げた功労として、引退時に法人から先生個人へ「役員退職慰労金」を支払うことができます。

驚異の税制優遇「退職所得控除」

退職金は、税務上非常に優遇されています。

例えば、勤続30年なら1,500万円までは非課税、それを超える部分も課税額が1/2になります。

「毎月の給料(役員報酬)で取ると最高税率で半分持っていかれるが、退職金として取れば手取りが圧倒的に増える」

この仕組みを使って、数千万円〜億単位の老後資金を効率よく残せるのが、法人化の隠れた、しかし最大のメリットの一つです。

この辺りは、生命保険を活用するという方法も良く使われます。

医療法人に詳しい優秀な生命保険のプランナーさんを身近に置いておくと良いでしょう。

弊社でも良いプランナーさんのご紹介は可能ですし、医療法人の税務に詳しい税理士さんとも提携しています。

【理由4:事業承継】「子供に継がせる」ハードルを下げる魔法

「息子(娘)が医学部に受かった。将来はこのクリニックを継いでほしい」

そう願う先生にとっても、法人化は強力な武器になります。

銀行口座凍結のリスク回避

個人事業の場合、もし仮に院長先生に万が一のこと(死亡)があると、銀行口座が凍結されます。

遺産分割協議が整うまで、スタッフへの給与も払えなくなるリスクがあります。

医療法人であれば、資産は法人のものです。

もし仮に万が一理事長が亡くなっても法人の口座は凍結されません。

「理事変更登記」を行うだけで、速やかに新理事長へ代表権をバトンタッチできます。

あくまで法人と個人は別だからです。

借金(連帯保証)の引き継ぎ

個人の借入金は相続人が引き継ぎますが、法人化しておけば、借入名義は「法人」になります。(※理事長の連帯保証は残る場合が多いですが、銀行との交渉により外せるケースも増えています)。

後継者にとって、個人で巨額の借金を背負って開業するより、既存の法人の理事長に就任するほうが、心理的・実務的ハードルは格段に低くなります。

ただし、医療法人が引き継げる負債には制限があります。

ここは事前に医療法に詳しい行政書士との相談しながら都道府県から承認を得られるように準備していきましょう。

ただ法人を作るだけではダメ。「組織設計」ができる医療法に詳しい行政書士が必要な理由

このように、「攻めの経営」を目指すための医療法人化ですが、設立時の設計を間違えると、後で身動きが取れなくなります。

社員、役員などのヒト構成

誰を社員にし、理事にし、誰を監事にするか。

その要件は?家族を入れる場合の要件は?任期は2年は?

これらは、税理士(数字のプロ)の視点だけではカバーしきれません。医療法や会社法を理解している必要があります。

特に社員については、医療法人の議決権をもつ非常に重要なポジションです。

正社員や契約社員などの従業員のことではありません。

社員とは、医療法人社団のオーナーとなる最重要意思決定者ですので、これを間違えると乗っ取りなどの原因となります。

医療法務と許認可のプロである行政書士が、先生の「10年後のビジョン」をヒアリングし、それに耐えうる強固な組織設計(定款作成)を行います。

 【FAQ】組織拡大・承継に関するよくある質問

組織拡大・承継に関するよくある質問に回答します。

Q1. まだ分院を出すか決めていませんが、法人化してもいいですか?

もちろんです。

むしろ、急には法人化はできません。良い物件を見つけた!としてもすぐには認可は得られませんから、先に法人化を済ませておかなくてはなりません。

それに、法人化して有利な法人税率を活用し、内部留保(資金)を貯めてから分院展開する方が、資金繰りとしても安全です。

定款にはあらかじめ「分院開設の可能性」を含ませた設計にしておけば、チャンスが来た時にすぐに動けます。

Q2. 医大生の息子を、今のうちから法人の役員にできますか?

原則として「理事」に就任可能です。

理事の要件として医師免許は必須ではありません(理事長は原則医師である必要があります)。

医学生のご子息を理事に入れ、経営会議(理事会)に参加させることで、早期から経営者教育を行い、スムーズな承継準備を進める先生もいらっしゃいます。

ただし、実態のない名ばかり役員への報酬支払いは税務リスクや都道府県からの指導が入ることがあるため、慎重な設計が必要です。

Q3. 法人化すると、院長の自由に使えるお金が減りませんか?

「公私混同」はできなくなります。

法人のサイフと個人のサイフは完全に別になります。

クリニックのお金で個人的な買い物などはできません。

しかし、役員報酬の設定次第で個人の手取り額を調整できますし、社宅制度や生命保険などを活用すれば、トータルでの経済的自由度はむしろ高まるケースが多いです。

MS法人の活用についても、医療法に詳しい行政書士としっかりリーガルチェックをして設計しましょう。

まとめ:クリニックを「家業」から「企業」へ進化させる決断を

医療法人化とは、クリニックを単なる「院長の生業(家業)」から、永続的に社会貢献し続ける「公的な組織(企業)」へと進化させる手続きです。

それは、先生ご自身が「プレイングマネージャー」の重圧から解放され、本来やりたかった「理想の医療」や「家族との時間」を取り戻すための第一歩でもあります。

「うちのクリニックは、法人化して組織拡大すべき段階なのだろうか?」

「将来の承継を見据えて、今から準備できることは?」

そのような経営者としての悩みをお持ちの先生は、ぜひ一度ご相談ください。

医療法務専門の行政書士が、先生のビジョンを実現するための最適な法人化プランを描きます。

節税だけでなく、採用・分院・承継まで見据えた「戦略的法人化」のご提案。

実績豊富なRCJグループへお任せください。

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