医療法人の役員重任手続きとは?クリニック経営者が知っておくべき重要ポイント

クリニック開業・経営

2025/7/14 2025/7/14

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この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

クリニックを医療法人で運営している経営者の皆様にとって、役員(理事・監事)の「重任(任期更新)」は、見落とされがちですが非常に重要な行政手続きのひとつです。

  • 「うっかり忘れていた」
  • 「実質的には変わらないから問題ない」
  • 「法人運営には影響ないと思っていた」

こうした油断が、監督官庁からの指導行政処分のリスクにつながる可能性があります。

本記事では、医療法人の役員の重任に関する制度や注意点、必要書類、そして行政書士をパートナーにするメリットについて詳しく解説します。

1. 医療法人の役員とは?

医療法人における「役員」の定義

医療法に基づく医療法人は、以下のような役員を置くことが義務づけられています。

  • 理事:法人の運営責任者。最低3名。そのうち1名を代表理事とし、法人を代表する。さらに、分院の管理者は必ず理事になる必要があるので、分院が増えれば理事も増えていく。
  • 監事:法人の会計を監査する立場で、監査報告書の作成をする。

役員任期の基本

原則、医療法人の役員の任期は2年です。

任期満了後は人員の変更がない限り、必ず「重任(再任)」の手続きが必要になります。

2. 重任とは何か?なぜ必要か?

重任=役員の任期を更新する手続き

重任とは、現在の役員が任期満了後に再度選任されることを意味します。

役員が変わらなくても、形式的に「選任」しなおす必要があります。

なぜ必要なのか?

  • 法的義務:定款に任期が定められている限り、重任手続きは必須です。
  • 行政庁への届出義務:重任後、遅滞なく変更届を提出しなければなりません。
  • 医療法人ガバナンスの適正化:名ばかり役員や放置された状態を防止。

3. 重任手続きの具体的な流れ

① 定款で任期を確認

まずは定款を確認し、各役員の任期を明確にします。

② 理事会および社員総会を開催

重任には、以下の決議が必要です。

  • 理事会:理事長の選任(理事会の構成が変わらない場合でも要決議)
  • 社員総会:理事・監事の選任(重任も含む)

③ 議事録の作成

  • 理事会議事録
  • 社員総会議事録(出席者署名または押印)

④ 行政庁への届出(変更届)

【提出書類の例(都道府県により異なる)】

  • 変更届出書
  • 議事録(コピー可)
  • 役員名簿(新旧)  等

⑤ 登記手続き(理事長の変更の時)

4. 期限を過ぎた場合のリスクとペナルティ

重任漏れは「違反」扱いになる可能性も

  • 行政指導の対象:保健所・都道府県から指摘を受けるケースあり。
  • 医療法人の信用低下:金融機関や監査法人からの信頼失墜。
  • 過料の可能性:場合によっては登記遅延により法務局から過料。
  • 手続き漏れが解消されないと分院開設の際などの定款変更認可が認められない

5. よくあるトラブルと対応策

トラブル事例 対応策
理事会や社員総会を開催していなかった 速やかに議事録を整備し、実施事実を記録
定款が古く、記載が曖昧 定款変更を含めた整備を検討
登記を忘れていた 法務局に確認し、過料覚悟で速やかに手続き
医療法人と社会保険の情報が不一致

手続き漏れで定款変更の認可が得られない

電子申請データや届出履歴を精査し整合性確保

大至急漏れていた手続きを終わらせ定款変更認可申請に進む

6. 重任に関するQ&A

Q:理事長も重任手続きが必要ですか?

A:はい。理事長も理事の一人であり、任期が定められていれば再任手続きが必要です。

Q:登記はいつまでにしなければなりませんか?

A:原則として変更後2週間以内が目安です(登記が必要な場合)。なお、登記の代行は司法書士の独占業務です。

Q:役員の重任を忘れてしまったらどうなりますか?

A:後追いでの手続きが可能ですが、場合によっては過料の対象や行政指導の可能性があります。

7. 行政書士に依頼するメリット

なぜ行政書士が必要なのか?

  • 最新の行政運用を熟知:自治体ごとに微妙に異なるルールに対応。
  • 議事録や名簿の正確な整備:不備があると差し戻しや修正指示が発生。
  • 登記関連の専門家との連携:登記は司法書士の独占業務であるため、医療に詳しい司法書士との連携支援。
  • 重任手続きや許認可に関する一切の手続きを「年間顧問業務」として管理:任期の事前アラートや法改正対応。

放置していた場合の“高くつく代償”

  • 緊急対応による費用増加
  • 信用失墜による金融取引停止
  • 医療広告や施設基準申請での審査差し戻し
  • 定款変更が認められず分院の開設が間に合わない

8. まとめ:重任を機にガバナンスの強化を

医療法人の役員重任手続きは、単なる「形式的な儀式」ではありません。

法人としてのガバナンスや透明性、行政手続きの適正さが問われる重要な局面です。

  • 理事会・社員総会の開催と記録
  • 社員・役員名簿の管理
  • 届出と必要に応じた登記を忘れずに
  • 行政書士によるサポートでリスクを最小化

もし少しでも「不安」や「不明点」がある場合は、医療法人の許認可手続きに精通した行政書士への相談をおすすめします。

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