整形外科での再生医療導入ガイド|クリニック経営者が知っておくべき手続きとリスクとは?

クリニック開業・経営

2025/6/19 2025/6/19

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

近年、整形外科における再生医療の導入が注目されています。

特にPRP療法や幹細胞治療は、変形性関節症や腱・靭帯損傷の新たな治療手段として、多くの患者から支持を集めています。

しかし、医師の専門性だけではなく、再生医療等安全性確保法に基づく届出・許可の取得が必須となるため、導入には慎重な検討が求められます。

この記事では、整形外科クリニックが再生医療を導入する際に押さえるべき行政手続きや、行政書士の活用方法について詳しく解説します。

1. 整形外科における再生医療の可能性とは?

主な再生医療の種類

整形外科で多く導入されている再生医療には以下のようなものがあります。

  • PRP(多血小板血漿)療法:関節や腱の炎症に対し、自己血由来の成分で自然治癒力を高める治療
  • 脂肪幹細胞療法:自己の脂肪組織から抽出した幹細胞を使用し、損傷部位の再生を促進
  • 培養幹細胞治療:ラボで培養した幹細胞を用いる高度な再生医療技術

 

経営的なメリット

  • 自由診療としての収益性

    保険診療ではカバーできない症例に対し、高単価の治療メニューを提供可能。 
  • 差別化戦略としての有効性

    高齢化社会の中で「手術に頼らない治療」を望む層が増加しており、再生医療は整形外科のブランド化にも直結します。 

2. 再生医療導入に必要な許認可と行政手続き

再生医療を導入するには、単に治療を始めるだけではなく、厳格な法令遵守と行政手続きが求められます。

再生医療等提供計画の届出

再生医療等の安全性の確保等に関する法律(通称:再生医療法)により、治療の内容に応じて第1種〜第3種の分類があります。

種類 対象治療 基準
第1種 iPS細胞・ES細胞等 これまでヒトに実施されたことが極めて少ないため、既知・未知を含めてリスクが高く想定されるもの
第2種 培養幹細胞治療など すでにヒトに実施されたことがあり、中程度のリスクを見込まれるもの(患者自身の体性幹細胞などを利用するもの)
第3種 PRP療法など もともと細胞が持っている機能を利用し、大きな操作を加えないため、大きなリスクは想定されないもの(加工を施した体性細胞を利用したものなど)

医師の要件と施設基準

  • 医師は再生医療に関する十分な知識・経験が必要
  • 施設の管理体制を整える必要あり

 

必須の行政手続き一覧

  • 提供計画の届出
  • 実施医師の届出
  • 施設設備の基準遵守
  • 定期報告書の提出(年1回)
  • 治療結果の記録・保存

 

3. 専門家なしでの手続きは極めて危険|届出不備によるリスク

再生医療の導入では、少しの不備が重大な行政処分や風評被害に直結します。

よくあるトラブル事例

  • 届出内容の記載漏れにより、提供差し止め命令
  • 「無届け医療」で都道府県のHPに名称公開(重大なブランド毀損)
  • 委託先検査機関の選定ミスで厚労省から改善命令

 

特に注意すべき点

  • 診療科によっては、自由診療=何をやってもよいと誤解されがち
  • 都道府県の対応にはばらつきがあり、審査・確認の手戻りで導入が大幅に遅延するケースも

 

こうした背景から、専門家なしでの独自手続きは非常にリスクが高いと言えます。

4. 医療専門の行政書士を活用すべき3つの理由

1. スムーズな届出と審査対応

再生医療に精通した行政書士なら、厚労省や都道府県への届出内容の設計から書類作成、やりとりの代行まで一括対応が可能です。

2. 専門的な審査機関との連携支援

第2種以上の場合に必要な「認定再生医療等委員会」との事前調整・提出資料の調整は極めて専門的です。

経験のある行政書士でなければ対応困難です。

3. 医療法・景品表示法とのクロスチェック

広告や説明文の作成時、医療広告ガイドラインや景表法との整合性も求められます。

これらのチェックを怠ると行政指導や指名停止処分の対象にもなります。

5. 導入までのステップと行政書士の関与ポイント

以下は整形外科で再生医療(PRP療法など第3種)を導入する際の一般的な流れです。

ステップ①:治療方針と手技の選定

  • 医師のスキルと患者ニーズを分析
  • 使用予定の検査機関・細胞加工施設を選定

➡️ この段階から専門の行政書士に相談するのが理想

ステップ②:提供計画の作成と届出

  • 計画書、同意説明文書、運用体制の設計
  • 都道府県や厚労省への提出手続き

➡️ 書類の整合性と審査対応は行政書士がサポート

ステップ③:開始後の報告・継続管理

  • 年次報告・症例報告・同意文書の保管など

➡️ 法的管理体制の維持に行政書士が継続関与

※個人開設の診療所から、法人開設の診療所に変わるときは、新規でお手続きが必要で、漏れがあると法人開設の診療所では再生医療の提供ができないということがあります。必ず事前に段取りをチェックしましょう。

6. 再生医療導入クリニックが今すぐ取るべきアクション

✅「うちはPRPだけだから大丈夫」はNG!

PRP療法でも第3種に該当するため、届出を怠れば違法行為に。

整形外科で導入する以上、必ず法的確認を。

✅開業済みの整形外科でも導入可能

現在保険診療中心でも、自由診療部門として再生医療を追加することで、新たな収益源やリピート率向上につながる可能性大。

✅まずは専門の行政書士へ相談を

「何から始めればいいかわからない」「厚労省の書類が難解すぎる」――そんなときこそ、再生医療手続きに特化した行政書士への早期相談が成功の鍵です。

おわりに|再生医療導入で差がつく時代へ

整形外科における再生医療の導入は、今後のクリニック経営における大きな武器となる一方で、法令違反のリスクも内在しています。

適切なパートナーと手を組み、合法的かつ安全に、そして効果的に再生医療を導入することが成功の近道です。

✅再生医療導入に関する無料相談はこちら

当事務所では、整形外科に特化した再生医療手続きの支援を行っています。

ご相談・お見積もりは無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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