【医薬品販売業許可】クリニックが導入する際のポイントと注意点|医療系行政書士が解説

クリニック開業・経営

2025/6/12 2025/6/19

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

美容皮膚科・自由診療クリニック・再生医療クリニックなどを運営する医師の間で、「医薬品販売業許可」に関心が高まっています。

なぜなら、自費診療の拡大物販による収益強化の一環として、院内での医薬品・化粧品・サプリメントの販売ニーズが増加しているためです。

しかし、医薬品を販売するには厳格なルールがあり、「医薬品販売業許可」を取得しなければ、違法行為となるリスクがあります。

本記事では、クリニック経営者が押さえておくべきポイントを行政手続きの観点から詳しく解説します。

1. 医薬品販売業許可とは?

「医薬品販売業許可」とは、医薬品を販売・授与する際に必要な厚生労働省または都道府県知事の許可です。

大きく分けて以下の3つがあります。

  • 薬局開設許可(調剤含む)
  • 店舗販売業許可
  • 卸売販売業許可

 

クリニックが医薬品を販売する場合、主に以下の2つの許可が関連します。

  • 店舗販売業許可:OTC(一般用医薬品)を一般消費者に販売
  • 卸売販売業許可:医療機関や薬局に販売(一定条件下)

 

2. 販売できる医薬品の範囲と分類

医薬品は、そのリスクに応じて以下の3分類に分かれています。

  • 第1類医薬品(例:ロキソニン)…薬剤師の対面販売が必須
  • 第2類医薬品(例:イブ、アレグラなど)…登録販売者で販売可能
  • 第3類医薬品(例:整腸剤など)…比較的リスクが低い

 

クリニックが販売を行う場合、薬剤師または登録販売者の常駐が原則となります。

医師であっても販売には別途許可が必要であり、医師免許だけでは医薬品販売はできません。

3. クリニックが許可取得を検討すべき3つの理由

1. 収益の多角化(物販ビジネスの拡張)

高付加価値な医薬品や化粧品を患者に提供することで、診療外の収益源が増加します。特に自由診療クリニックではドクターズコスメや美容内服薬の販売が人気です。化粧品販売については、別途化粧品販売に関する許可があります。

2. 顧客満足度・リピート率の向上

「診察→購入」までをワンストップで提供することにより、利便性の高いサービス提供が可能となり、患者のロイヤルティが向上します。

3. 差別化戦略としてのブランディング

競争が激化する美容医療業界において、自社ブランドの医薬品やサプリを販売することで、差別化された価値提供が可能になります。

4. 医薬品販売業の種類とクリニックに必要な許可

許可の種類 主な対象 要件 備考
店舗販売業 一般消費者への販売 登録販売者の配置、店舗基準 第1類医薬品は販売不可
卸売販売業 医療機関・薬局への販売 管理者の配置、営業所要件 開業医が医薬品を販売する場合に要注意

医師が経営する場合の注意点

「医師=薬は出せる」という誤解が多くありますが、診察・処方と販売は法律上明確に区別されています。

医療行為として診察をした患者に処方するのと、一般客に販売するのでは大きな違いです。

例えば、美容内服薬を販売するには、医療機関としての処方とは別に「販売業許可」が必要です。

5. 許可取得までの流れと必要書類

ステップ1:販売形態の確認

  • 一般用医薬品の販売か、医療機関向けの卸売か?
  • 薬剤師や登録販売者の確保は可能か?

 

ステップ2:施設の基準確認

  • 専用スペース(販売区画)
  • 保管設備(温度・湿度管理が可能な場所) 等

 

ステップ3:申請書類の準備

  • 許可申請書
  • 構造設備の概要図
  • 従業員の資格証明書(薬剤師・登録販売者など)
  • 管理体制に関する書類  等

 

ステップ4:所管行政への申請

  • 管轄の行政へ申請
  • 審査・実地調査あり(管轄による)

 

ステップ5:許可取得後の運用管理

  • 記録保管
  • 年次報告
  • 定期的な監査対応

 

6. よくある落とし穴と違反リスク

  • 医師が無許可で医薬品を販売してしまう
  • 登録販売者が不在で販売してしまう
  • 無許可の倉庫で保管する
  • 広告表現が薬機法違反(虚偽・誇大表示など)

 

これらはすべて行政処分や刑事罰の対象になり得ます。

たとえば、違法販売が発覚すると、業務停止や罰金・医療機関の信頼失墜といった重大なリスクを抱えることになります。

7. 医療・薬事に強い行政書士を側に置くメリット

医薬品販売業許可の申請には、多くの法的・実務的な知識が求められます。

以下のような支援が可能です。

✅ 書類作成のプロによる正確な対応

ミスによる再提出や審査遅延を防止できます。

✅ 厚労省や保健所との対応窓口を代行

慣れない行政対応を専門家が担うことで、経営者の負担を軽減。

✅ 薬機法・医療法の複雑な規制も対応可能

販売物や広告内容のリーガルチェックも行政書士が対応できます。

✅ 再生医療や自由診療の許可取得とセットで対応

当事務所では、医薬品販売に加え、再生医療等提供計画や自由診療のビジネススキーム全体の設計まで対応可能です。

8. まとめ|許認可の専門家と連携し、安全・合法にビジネスを広げよう

医薬品販売業許可は、収益性の高いビジネス展開を可能にする一方で、法令遵守の厳格さが求められる分野です。

特に医療機関としての信用を維持しながら、安全に事業拡大を進めるには、専門家のサポートが不可欠です。

「許可取得の方法がよく分からない」「どの許可が必要なのか判断できない」「販売したい商品が薬機法に違反していないか心配」──そんなお悩みをお持ちのクリニック経営者の方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

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