【診療所開業に必要な行政手続きの全ガイド】診療所を開業する際の必要書類や手続きの流れを詳しく解説

クリニック開業

2025/2/19 2025/2/21

この記事の監修

古川 晃

行政書士法人RCJ法務総研 代表 / 行政書士 
株式会社リアルコンテンツジャパン(経済産業省認定経営革新等支援機関) 代表取締役

古川 晃

医療許認可の専門家として17年、医療法人設立・分院開設・合併・解散・一般社団法人による診療所開設など医療許認可1500件以上 クリニック様の助成金・補助金・融資などの資金調達100億円以上の支援実績

診療所の開業を目指す医師にとって、行政手続きは避けて通れない重要なプロセスです。

しかし、手続きの種類が多く、スムーズに進めるためには事前の準備が欠かせません。

本記事では、診療所開業に必要な行政手続きの流れを詳しく解説し、スムーズな開業をサポートします。

1. 診療所開業までの基本的な流れ

診療所を開業するためには、以下のような手順を踏む必要があります。

1. 事業計画の策定・物件の選定
2. 行政手続きの準備・許認可申請
3. 内装工事・医療機器の導入
4. スタッフの採用・トレーニング
5. 開業準備(広告・集患対策など)
6. 開業・診療開始

この中でも、特に「行政手続き」は時間がかかるため、スケジュールを立てて進めることが重要です。

2. 診療所開業に必要な主な行政手続き

2-1. 診療所開設届

診療所を開業する際には、「診療所開設届」 を所轄の保健所へ提出する必要があります。

提出期限

開業後10日以内に提出が必要というルールになっています。

ただし、実務上は実際に開業ができるかを開業予定の診療所の住所を管轄する保健所に事前に相談をし、診療所の平面図や設置する機械などを確認して承認を得ておかないと、工事が終わってから構造が不適切ということでやり直しになってしまうことがあります。

必ず事前に相談をしてから工事を開始しましょう。

提出先

診療所の所在地を管轄する保健所

必要書類 (管轄の保健所により異なります)

  • 診療所開設届(所定の様式)
  • 管理者(院長)の医師免許証、臨床研修終了登録証、保険医登録票の写し
  • 診療所の平面図
  • 施設の賃貸契約書の写し(自己所有物件の場合は登記簿謄本)
  • 医療機器のリスト
  • スタッフの雇用契約書(看護師や薬剤師がいる場合)

2-2. 保険医療機関指定申請(保険診療を行う場合)

保険診療を行うためには、「保険医療機関の指定」 を受ける必要があります。

提出期限

毎月10日頃締め切り、翌月1日指定

指定を受けるまでは保険診療が受けられませんので、スケジュールを確認しながら進めましょう。

提出先

診療所の所在地を管轄する地方厚生(支)局

必要書類

  • 保険医療機関指定申請書
  • 診療所開設届の写し
  • 管理者の医師免許証の写し
  • 診療所の平面図

この手続きを完了すると、「保険医療機関指定通知書」が交付され、保険診療が可能になります。

2-3. 労災保険指定医療機関の申請(必要に応じて)

労災保険指定医療機関になることで、労災事故に関する診療を行うことが可能になります。

提出先

労働基準監督署

必要書類

  • 労災保険指定医療機関申請書
  • 診療所開設届の写し
  • 保険医療機関指定通知書の写し

その他、必要に応じて施設基準の申請を行いましょう。

2-4. 生活保護指定医療機関の申請(必要に応じて)

生活保護受給者の診療を行う場合は、管轄の自治体に「生活保護指定医療機関」の申請**を行います。

その他、必要に応じて管轄の自治体に公費医療の申請を行いましょう。

3. 開業時に必要なその他の手続き

3-1. 医療機器設置の届出

X線装置などの医療機器を導入する場合、「診療用放射線装置設置届」 などの提出が必要です。

提出先

診療所を管轄する保健所

必要書類(地域により異なります)

  • 診療用放射線装置設置届
  • 機器のカタログや仕様書
  • 診療所の平面図

管轄保健所に確認をしながら進めましょう。

3-2. 消防法関連の手続き

診療所では消防設備の設置や避難計画の策定が必要です。

手続きの例 (地域により異なります)

  • 消防用設備等設置届出書
  • 防火管理者選任届(一定規模以上の診療所)

提出先

管轄の消防署

事前に消防署に確認をしながら進めましょう。

3-3. スタッフの労務管理関連の届出

開業医が従業員(看護師、事務スタッフなど)を雇用する場合、以下の手続きが必要です。

手続き 提出先 提出期限
雇用保険適用事業所設置届 ハローワーク 雇用開始から10日以内
社会保険(健康保険・厚生年金)加入手続き 年金事務所 雇用開始から5日以内
労災保険成立届 労働基準監督署 事業開始から10日以内

4. 診療所開業時のスケジュール例

機関 手続き
開業6か月前  物件選定、事業計画作成
開業3~4か月前 医療機器選定
開業2か月前 スタッフ採用
診療開始する前月10日頃 保険医療機関指定と、労災など施設基準や公費医療
開業1か月前 保険医登録、労災保険申請
開業10日前 消防関連手続き、最終チェック
開業当日 診療開始
診療開始から10日以内 診療所開設届

まとめ

診療所開業には多くの行政手続きが必要ですが、事前に計画を立てて進めればスムーズに開業できます。

特に、診療所開設届、保険医療機関指定申請、保険医登録申請の3つは必須の手続きなので、早めの準備が重要です。

これから開業を目指す医師の皆さんは、この記事を参考にしながら、余裕を持ったスケジュールで準備を進めてください。

漏れがあると予定通り診療をスタートすることができず、空家賃や人件費などの大きな損失が出ることもあります。

診療所の行政手続きに詳しい行政書士に相談をすれば安心です。

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